火と向き合う朝
- ikeda009

- 1 日前
- 読了時間: 1分

炉の前に立つ。
吹きガラスの仕事は、まず火と向き合うところから始まります。
目の前にあるのは、ただ“熱い炉”ではありません。
その日の温度、その瞬間のガラスのやわらかさ、道具を持つ手に伝わる重み、ほんのわずかな表情の違い。
同じように見えても、同じ日はひとつとしてありません。
吹きガラスは、材料を溶かして形を作る仕事です。
けれど実際には、ガラスそのものだけでなく、火の機嫌や空気の流れ、自分の感覚まで含めて向き合う仕事なのだと思います。
熱の中から巻き取ったガラスは、刻一刻と変化していきます。
やわらかすぎても形にならず、冷めすぎても思うように伸びてくれない。
その一瞬を逃さないように、職人は炉の前で静かに集中します。
毎日繰り返している作業でも、毎回少しずつ違う。
だからこそ難しく、だからこそ面白い。
吹きガラスの魅力は、そんな“一度きりの瞬間”の積み重ねの中にあります。
作品として店頭に並ぶとき、そこには涼やかで静かな表情がありますが、
その背景には、こうして火と向き合う時間があります。
今日もまた、炉の前からものづくりが始まっています。



コメント